マンションには、廊下や階段、フリースペースなど、すべての住人が利用する共用部分は、日常的に清掃や設備点検などをしなければなりません。また建物そのものについての修繕も、場当たり的な対応ではなく、長期的視野で計画を建てて実行していく必要があります。
具体例として、日常的な管理には「エレベーターや給水設備の保守点検などの設備管理業務」「各種生活ゴミの処理清掃業務」「恒常的な建物の点検や、設備業者などの応対業務」などが挙げられます。
また建物そのものの修繕や機能強化としては、「建替えなどに関して、その計画から実行に至る一連の維持保全」「給水設備の取り替えや外壁や天井・床などの張り替えなどの大規模な修繕」などが挙げられます。
こうした建物の施設全般に渡り日々、管理組合の相談を受けつつ、より有効なアドバイスを提供していくことが、マンション管理士にとっての、ひとつの大きな仕事といえます。
マンションの増加により近年、大きな問題となっているのが住民同士のトラブルです。国土交通省の調査によると、マンションのトラブル発生状況に関して最も多かったのが「居住者間のマナー」。
その具体内容を見ると、「違法駐車・駐輪」「ピアノやオーディオ機器などが発する騒音」「ペットの飼育」「ゴミの出し方」などマンションには、多くの住人が共同で生活していく上での数々の問題が発生します。
また一言で住人といっても一人一人の地位や立場が大きく違うため、いざトラブルが発生したときにも、なかなか意見がまとまらなかったり、すぐに白黒の判断をつけられないケースも多くあります。
そうした難しい問題に対処していくためには、実生活に関わるトラブルを未然に防ぐためのルールが必要になります。マンション管理士にはそうしたルールの制定や、住民にルールを守ってもらうための活動に関して、的確なアドバイスや指示が求められるのです。
マンションは一度建設されてしまえば、基本的には数十年に渡って運営管理していかなければなりません。例えば管理組合の財務会計のアドバイスやマンション管理業者のチェックといった監査業務といった仕事も、マンション管理士には求められます。
マンションの管理業務には法律や会計、建築など、マンションの運営管理していく上での幅広い専門知識が必要とされるため、マンション管理士は時には、建築士や弁護士、行政書士などの専門家との連携や、国土交通省などの行政から出されるマンション管理適性化指針に沿って、管理組合や住人に対して問題解決のための調整が求められます。